先日、犬の散歩をしていたら、ご近所さんから声をかけられました。そして、「これ食べてみて!」と立派な大根と水菜を頂きました。
頂いた野菜

この方も我々と同じ移住者です。偶然出会った際に互いに自己紹介したことがきっかけで、挨拶を交わしたり世間話をしたりという関係になりました。我々より年代は随分上の女性ですが、もう素晴らしいとしか言えない行動力とコミュニケーション力をお持ちで、「あんな歳のとり方ができるといいなあ」と常日頃妻と話しています。ご近所のほぼ全ての方と既にお付き合いされていますし、ご自宅で立派な家庭菜園をやられています。以前、その家庭菜園を見学させて頂いたことがあるんですが、その時のことを覚えていて下さって、散歩途中の私をわざわざ追いかけてきてくれたのだと思います。

大きくて、瑞々しくて、見るからに新鮮な野菜で、思わず写真撮影してしまいました。しかも、無農薬。安心安全の食材というのは本当にありがたいものです。葉っぱまで美味しく頂きました。

これは是非ともお礼がしたい。ちょっとしたおみやげを持って家に伺いました。ところが「あら、もう食べちゃったの?ちょっと待っててね」とおっしゃって、すぐに畑から土だらけの大根を引き抜いて戻ってこられました。結果的に、何だか大根をもう1本せびりに行った、みたいになってしまいました(笑)

地方では普通のことなのかもしれません。でもよくよく考えてみると、これは面白いなあという気がしてきました。例えば、ここ淡路島では産直市場に行けば地元の野菜を安く買うことができます。が、最低でも農家⇒小売⇒消費者と流通する中で、大根とお金との価値交換が行われる訳です。そして交換1つ1つに人件費や消費税がのっかり、最終的な価格に全て転嫁されます。
しかし、お金を媒介しなければ、そんなもの関係ありません。雇用という面を横においておけば、地方生活者にとって物々交換は大きな武器になり得るのではないでしょうか?もしかしたら地方では必ずしも雇用を前提としない生き方だって可能なのかもしれません。

もちろん、お金を媒介しない以上、GDP等の経済数値に反映されることは一切ありませんけどね。でも、「それが何か?」って私は思います。地域社会に溶け込むのはそれはそれで大変なことも出てくると思いますが、田舎移住を検討されている方は「雇用への依存度を(0にしないまでも)減らす」という選択肢を考えてみるのもよいかもしれません。実際、地域社会にそれ程深く溶け込んでいる訳ではない我々ですが、移住後、生活費は大きく減りました。そして、高い給料を前提にしなければ、島にも一定の雇用はあります。

我が家は現在外構工事中。「庭ができあがったら家庭菜園でもやってみようかな…」、「コミュニケーションの輪が広がるかも…」、「でも本気で何のノウハウもないな…」などと大根を食べながら思う今日この頃です。