香川からの帰り道、友人のススメもあって徳島県神山町に寄り道することにしました。
ご存知の方もおられるかもしれませんが、過疎が進む山間の小さな町で、光ファイバー網が整備され、ITベンチャー等、複数の企業がサテライトオフィスを構えたことで一気に注目を集めた地です。

当初は「アーティスト・イン・レジデンス」、つまり”アーティスト”を神山に招聘して創作活動をしてもらうというコンセプトから始まり、次第に”田舎でもできる仕事”を神山にもってくる「ワーク・イン・レジデンス」へと進化していったとか。ご興味のある方は、こちらが参考になると思います。

  • 御社の本業が神山でちゃんと成立することを示して下さい。それが何よりの地域貢献です。ダメだったらいつ出て行っても構いません。
  • おそらく多くは補助金などの支援策つまり〈ニンジンぶら下げ競争〉になるんですよ。すると、ニンジンの大きさだけで物事を判断する企業がやって来る。だからそうじゃない方向で行こう。
  • サテライトオフィスは企業誘致ではなく人材誘致。B級グルメなどのように初めから「モノ」ありきではなく、価値観を共有する「人」と「人」とのつながりが自然に新しい動きを生む。

ですって。
仰る通りであります。「本業を持ち、自立していて、人的ネットワークをもった人」、本気で地域活性化を目指すなら、これ以上のターゲット設定はないでしょう。

私自身がそうだというつもりは全くありませんが、淡路島移住を決断できたのは、ネットさえつながればできる仕事を確立していたからこそ。神山のことは移住後に知って興味を持っていたんですが、今回ようやく訪問が実現しました。

実際に行ってみると、ロケーション的に恵まれた地では全くないことが分かります。本気で山の中にあるんですよ。雨が降ってきたせいもあるかもしれませんが、車を運転していて道合ってるのかなと不安になったくらいですから(笑)。山道を抜け、神山町に入り、こちらの鳥居を目指しました。

カラオケ鳥居

カラオケ鳥居です。「アーティスト・イン・レジデンス」事業の一環で、ドイツ在住のアメリカ人アーティストの作品だとか。スピーカーでできていて、なんとBluetooth接続すれば実際に鳥居から音も出せるんですよ。
そして、この奥に神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックスと呼ばれるコワーキングスペースがありました。

神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス

元縫製工場だった建物を改修したそうです。
駐車場には結構な台数の車が停まっていました。驚いたことに、中を覗くと、私が東京で利用しているコワーキングスペースより混んでいるではありませんか!利用されている方々の年齢層も若めでした。夜までに淡路島に帰りたかった私は断念しましたが、ドロップイン利用(ビジター利用)も可能です。
さらに、このコワーキングスペースの道をはさんで反対側には、WEEK神山という宿泊施設もあります。

WEEK神山

場所を固定せずに仕事を持ち運びながら暮らす、神山で1週間くらい過ごして普段とは違った環境で仕事をする、そんな思いを形にしたとか。上の写真は雨の中撮ったのでイマイチですが、リンク先に実際の部屋の写真も載っているので、ご興味のある方は覗いてみるといいと思います。
淡路島を拠点としつつ、日本そして世界各地を仕事をしながら周りたい…、まさに私が理想としているライフスタイルです。

今後、大企業の雇用は縮小を続け、嫌でもそれなりの自立が求められる時代がやってくるでしょう。しかし、仮にネットさえつながれば仕事ができるようになったとしても、1人ではどうしても限界があり、さらなる前進には人との出会い、つまり実際に面と向かってとるコミュニケーションが不可欠です。私が定期的に東京や大阪に出て人と会い、コミュニケーションを継続している理由は、まさにこの一点にあります。
しかし、もし地方のどこかに、様々な分野で自立した人間が集まり、いろんなコミュニケーションがその地域内でできるようになったら…、随分と話は変わってくる気がするんですよ。いずれにしろ、大きな推進力が生まれるのではないでしょうか。

神山、想像以上に面白いところでした。