先日、ある読者の方から、平凡なサラリーマンだった私が独立移住のために実践した資産運用という記事へのコメントとして、

  • 独立を考えているが、
  • 固定収入(給与)がゼロになるという点で経済面が不安
  • 私(AROT)が独立を決めた時の貯蓄や収入等を可能な範囲で教えて欲しい

といったご質問を頂きました。会社員時代の悩みに悩んでいた自分自身を思い出しながら、既に回答させて頂きましたが、さらに加筆修正して記事として体裁を整えてみました。プライベートな内容も多分に含むため、こういったオープンな場で公開可能な範囲での回答となる点はご容赦下さい。
ご興味のある方は、一例として参考にして頂ければ…と思います。

退職時点で貯金はどれくらい確保していたか(生活費n年分等)

現在の生活費を前提に単純に考えるなら、それなりに貯蓄はある状態だと言えます。又、移住によって生活にかかる固定費が随分と下がっていることも、生活費n年分という視点では有利に働いているでしょう。が、だからといって、私は今の状態が安泰だとは全く思っていません。

独立後に知り合いになった個人投資家の中には、私などよりずっと大きな資産を築かれている方は普通におられますし、そもそも私自身の中に「貯蓄で悠々自適に…」というマインドは一切なく、”セミリタイア“という言葉には違和感しか感じないくらいです。根が貧乏性なのかもしれませんが(笑)。

実際、将来何があるか分かりませんし、何より株式投資をしている以上、明日大損するかもしれません
「貯蓄がある」というだけでは、私は独立を考えなかったと思います。
「稼げること」の方が、私の場合は勇気が出るようです。

退職時点で株式投資の収入はどれくらいあったか

退職当時、最低でも10%、うまくハマれば100%程度の年間利回りが期待できる独自のトレードシステムが完成していました。あくまで過去の値動きにあてはめた場合の検証結果ですが、私は元々物理を志していたこともあって、必要以上に数字を加工することで生じる偶然を極力排除し、再現性にはおそらく誰よりも気を配っています。トレードの根拠はシンプルでなければならないのです。

もちろん、未来は誰にも分かりません。が、私の安定的なトレードスタイルは選抜株式レースの成績をご覧頂ければ、何となく感じて頂けるのではないでしょうか。
又、退職直前の数年間は給料よりも投資収入の方が多い年が普通にありましたし、株式投資歴数十年の中で年間成績がマイナスになったのは1度だけです。リーマンショックの年に、確か年率-0.5%くらいの成績だったでしょうか。今から思えば当時の自身の投資手法が未熟だったの一言で、そこから様々な研究を重ね、今に至ります。

いずれにしろ、私の場合は株式投資の収入(金額)というよりも、

「市場全体の上げ下げ(β)に依存せず、安定的に年間利回りを10~100%程度に収束させる技術を身に付けた」

ことの方が独立を大きく後押ししてくれました。逆に、

「一時的に大きな利益が出て、貯蓄が増えた」

という状態だったら、私は独立を決断できなかったと思います。

私の場合は、自力で安定的に稼げることこそが大きな勇気につながったと言えます。
ただし、それでも「明日大損するかもしれないリスク」から逃れられたとは思っていません。

退職時点で株以外の収入があったか

お小遣い程度ならありました。
又、退職後いろんなお話を頂きます。請負仕事に手を出せば、それだけで生活費くらいは稼げる気もします。実際、少しそういった仕事をしたことはあるのですが、今は全てお断りしました。

自分の時間を自分がやりたいことに使う、そのために独立したのですから。
そして、時間には限りがあります。

配偶者との話し合いはどのようにしたか

会社を退職する際、同僚からよく聞かれた質問です(笑)。

結婚前からずっと会社員をするつもりがないことは妻に伝えていました。
そして結婚後、毎月の給与収入だけでなく投資収入も含めて全てを共有していましたし、独立に向けた構想を具体的に話し合う中で、彼女の希望もかなえるようなプランにしていきました。
なので、妻にとって唐突な話でも何でもなく、最終的には彼女の方が「まだなの?」と言っていたくらいです。

独立生活を決定する前に、参考にした本やサイトなどはあるか

残念ながら、ありません。

ただし、会社員時代の後輩で随分早く独立した友人がいまして、ちょくちょく情報交換をしていました。実は、パッシブ運用しか知らなかった私に、当時コバンザメ投資と呼ばれたアクティブ運用を教え、さらには選抜株式レースに誘ってくれたのは、この友人です。今では互いに全く別の投資スタイルを構築するに至りましたが、定期的な情報交換は継続しています。そして、大いに刺激を受けています。
又、会社員としての仕事を通して起業経験のある方とのご縁にも恵まれまして、そういった方には今でも良い刺激を頂いています。

つくづく思うのですが、縁とは不思議なものです。

その他、独立の際に注意したことなど

私の独立がリスクのある決断であることは間違いありません。
だって、明日大損するかもしれないのですから。

なので、そのリスクを少しでも抑えるよう、私が独立後まず最初に取り組んだのが、利回りを維持しながらドローダウンを低下させるような工夫をシステムに加えることでした。言葉にするのは簡単ですが、実現はなかなか難しく、結果的に数年かかりました。さらに、実は株式投資に割り当てる資金量も会社員時代から大幅に減らしています。

今の私にとって、利益を出すことも大事ですが、それ以上に損失を出さないことが大事です。特に一発退場だけは絶対に避けねばなりません。そのため、このブログに書かせて頂いた通り、かなりディフェンシブな資金管理をしています。
そして今、自分のやりたいことでビジネスを立ち上げようとしています。何度か書いていますが、次はマーケットリスクをとらない収入を作り出すことが目的です。

それでも万一経済的に成り立たなくなったら???

会社員に戻ればいいんですよ。
ダメなら一旦元に戻ればいい、私は本気でそう思ってまして、そのための人脈も会社員時代に形成しました。いわゆるヘッドハンターと呼ばれる方々との付き合いです。当時競争の激しい環境にいたので、そのリスクヘッジとして築いたものですが、今となってはこれもまた一つの財産なのかもしれません。
ただし、正直今でもその人脈が生きているのかは不明です(笑)。そして、いずれにしても私の年齢だと間違いなく条件は悪化するでしょう。会社員を続けていた方が給与も待遇も恵まれていた…となる可能性は高い。が、逆に言えばその程度のことなのですよ。妙なプライドを捨てられない方は別として、心身の健康さえあれば、今の日本で食いっぱぐれることはそうそうありません。
さらに、この国には充実した社会保障があります。何だかんだ言われていますが、ハッキリ言って日本の社会保障は既に十分手厚い。「世界で最も成功した社会主義国」と言われるだけのことはあります(笑)。

又、私のようなオッサンではなく、若い方であれば、独立/起業はうまくアピールすれば逆にキャリアアップにつなげることだってできるはずです。結果として失敗に終わったとしても、このご時世、自らのリスクでチャレンジする、そういったメンタリティと経験を持つ若者を求める会社はたくさんあると思います。私だって欲しいですから。
誤解ないよう書いておきますが、地域おこし協力隊は「自らのリスク」どころか「税金に依存する」モデルなので、こういった視点ではむしろマイナスに作用する可能性の方が高いです。くれぐれもお気を付け下さい。キャリアアップへのポイントは、成功/失敗を別にすれば、ビジネスを自ら構想し、自らのリスクでやり切ったかどうか、だと思います。

最後に一点。
会社員を続けることにもリスクはあります。
それは、自分の人生を自分でコントロールできないリスク、とでも言いましょうか。
もはや終身雇用を信じている方はそう多くはないはずです。断言しますが、この流れがとまることはもうありません。今後、一部の規制産業を抜きにすれば、本人の意思と関係なく突如として自立を求められる人はたくさん出てくるでしょう。

結局リスクのない人生なんてあり得ないので、自らの信じる道を進むのが一番なのではないでしょうか。

P.S.
>山田太郎さん
ご質問ありがとうございました!