株式市場は効率的で未来の株価は予想できないという前提に立った上で、リスクを最低限に抑えながら、株式投資のリターンを得る方法があります。

初心者が株式市場を歩くための有力な方法

TOPIXや日経平均のような市場平均に連動するインデックスファンドに投資する、です。「プロ」のファンドマネージャーが組成したファンドの方が勝てるのではないか…、初心者の方はそう思われるかもしれません。しかし、長期的に見ると市場平均に勝つものはほぼないのが実態なのです。

現代ポートフォリオ理論(Modern Portfolio Theory)では、「猿」にダーツを投げさせて組成したポートフォリオも、「プロ」が組成したポートフォリオも、成績は変わらないと説きます。むしろ、「プロ」のファンドの方が、高額な手数料分、実際の成績は悪化する傾向にあります。ノーロードと呼ばれる手数料のかからないインデックスファンドへの投資は、市場の効率性を前提にすれば極めて合理的で強力な投資手法です。

さらに、ドルコスト平均法と言われるのですが、一度に購入せず、資金を分割して定期的に(例えば1ヶ月ごとに)同じ額を少しずつ購入することで、時間的なリスクも抑えることができます。”株価が高い時には少しだけ購入、安い時にはたくさん購入”というコントロールが自動的にきくのがこの方法のいいところです。

ノーロードのインデックスファンドをドルコスト平均で積み立てていく

ただこれだけのことで、大半の負け組と距離をおくことができるでしょう。

インデックス投資の実践例

私自身、2001年から2005年にかけて実践していました。ちょうど小泉政権の時代で、日経平均株価が14,000円から一旦11,000円まで下がり、その後16,000円程度まで回復した時期です。当時は、

  • 簡単な方法で株式市場の恩恵に預かれるかもしれない
  • リスクもあるが、長期的にはどこかで利食いできるに違いない
  • 円以外の資産に分散投資することでインフレヘッジになる

といった考えでした。仕掛けて間もなく含み損を抱えましたが、ここでやめるとドルコスト平均の意味がありません。安く多く買えるのはチャンスと考えて買い続け、最後は利益を出して手仕舞うことができました。

パッシブ運用とアクティブ運用

現在私自身はインデックス投資を卒業していますが、この方法が強力だという考えは今でも変わりません。

  • インデックス投資は受け身の投資なのでパッシブ運用
  • 個別株を手掛けてインデックスを出し抜こうとする積極的な投資をアクティブ運用

と呼ぶことがあります。そして、アクティブ運用にチャレンジする人の大半は負けます。市場平均に勝つのは相当に難しいのですよ。この負け組が多ければ多い程、インデックス投資は有利になるでしょう。敗者の負け待ち戦略といってもよいかもしれません。ただし、今から始めるとしたら、少し気になることがあります。

1つ目は、2015年4月現在、株価が高くなっていることです。この方法は長期投資になる可能性が高いですが、長期投資を始めるタイミングとして今が適切か、という疑問です。もちろん、この先バブルが発生するかもしれませんし、そもそも未来は予測できないことを前提にしているので、考え過ぎても仕方がないのですが、どうでしょうか。

2つ目は、この高値を買っているのが我々の年金資金だという点です。つまり、我々はこの高値を問答無用で強制的に買わされています。さらに追加で株式を購入するかどうか、それぞれの資産状況に合わせて検討する必要があるでしょう。

高額な手数料をとる日本の投資信託

一方、高額な手数料が設定された日本で販売されている投資信託は、私から見ると論外です。名前だけは立派ですが、大半が猿と一緒で市場平均に勝てないのに…。猿ではなく、本当に「プロ」だというなら、せめて手数料は成功報酬にすべきでしょう。運用に失敗してもコストという名目で手数料をとるのは、もはや「プロ」の仕事ではありません。私は絶対にやりませんが、もし投資信託を購入する際は、よくよく検討された方がよいと思います。

ここまでの話は、以前ご紹介したこちらの書籍

で丁寧に説明されているので、ご興味がある方は一読をおすすめします。

次回以降はアクティブ運用の話を書きますが、大半が負ける(勝つためには相応の研究が必要)ということを肝に銘じて頂ければと思います。