前回、株価の予測は基本的に不可能と書きましたが、そもそも株価とは何で決まるのでしょうか?
株価を分析する手法としてよく語られるのは、以下の2つです。

ファンダメンタル分析

株式には、企業業績に基づく「本質価値」があるという考え方です。詳細は省きますが、その企業が将来生み出すキャッシュフローを予測し、そこから割り引いて現在価値を算出し、その合計を「本質価値」とします(Discounted Cash Flow法)。
そして、「株価<本質価値」なら割安、逆に「株価>本質価値」なら割高という訳で、実にシンプルです。

しかし…、です。
将来生み出すキャッシュフローはどうやって予測すればいいのでしょうか?これが分かれば苦労はないのです。実際、その企業の経営者ですら、1年後のキャッシュフローを正確に予測できないのが実態です。

確かに、株価は企業業績の影響を受けています。ただ、将来の企業業績を正確に予測することができない以上、ファンダメンタル分析を実戦で使うのは難しいのではないでしょうか?耳障りがとてもいいので、後付けの理屈としては有効なのですけどね。
(逆に、もし特定の市場や企業に精通していて、将来の業績を一定の精度で予測できたら、成功間違いなしでしょう。ただ、そういった方は、日本企業でサラリーマンをしているはずはないですが…。どれだけ立派な肩書を持っていようと証券会社の営業マンやアナリストの言うことを盲信してはなりません。)

テクニカル分析

株価の過去の動き(チャート)を分析することで将来の株価を予測するという考え方です。私自身、実はあまり知らないのですが、トレンドを判定したり、買われ過ぎ/売られ過ぎを判定したり、様々なテクニカル指標が考案されています。RSI、VR、MACDなどなど…。

しかし、こちらにも問題があります。どんなテクニカル指標を開発しようと、株価チャートはあくまで過去を見ています。過去の売買実績から、果たして未来を予測できるでしょうか?

売買するのが人間である以上、過去に売り買いした人間の心理や感情が株価に影響を及ぼしているのは事実でしょう。しかし、そこから未来の株価を予想できるかという問いに対して、自信を持って回答できるでしょうか?

市場の効率性と現代ポートフォリオ理論

結局、ファンダメンタル分析もテクニカル分析も、過去を照らしています。そこから未来を予測できるか、という問いに対して回答を用意しない限り、実戦では使い物になりません。

株価の将来を予測するのは実に困難です。これを市場が効率的であると言います。そして、未来の予測が困難であることを受け入れてしまい、市場は効率的であるという前提で開発されたのが、現代ポートフォリオ理論(MPT: Modern Portfolio Theory)です。

MPTでは、株価は何の規則性もなく、ただランダムに動いているだけ(ランダムウォーク)と考えます。
MPTを前提にすると、どのように投資するのがいいでしょうか?
次回に続きます。