前回は消費支出を株価と比較しましたが、今回は為替との比較をお見せします。
繰り返しになりますが、日本は国内消費がGDPの6割を占める超内需国家です。実体経済が回復するには、この国内消費の回復こそが肝となります。

前回の投稿で、株価と実体経済は全くの別モノであることはお分かり頂けたかと思います。このブログでは「資本市場で利益を出す技術」と「実体経済の話」を明確に分けて記事にするつもりです。

消費支出と為替(ドル/円)

まずはグラフをご覧下さい。

消費支出と為替

赤のラインは既に何度かお見せしている消費支出の12ヶ月移動平均(季節変動を消すため)、オレンジのラインがドル/円の為替レート(月足の終値)です。

株価に比べれば、何となく連動しているように見えるかもしれません。
しかし、直近に注目すると、東日本大震災後、日銀による金融緩和によって大きく円安に振れたにも関わらず、消費支出は消費増税によって奈落の底へ…。某新聞社によれば、円安にすれば輸出が活況となって日本経済は復活するはずなのですが!?

さらに。
いざなみ景気の間、為替はむしろ円高に向かっていることも分かります。
いざなみ景気はあくまで政府が定義したもので、高度経済成長期やバブル期に比べてGDP成長率が低かった期間ですし、上のグラフを見ても消費支出は低迷しています(それでも現在よりはるかにマシですが)。
しかし、政府が定義した景気回復期、実は円高が進んでいた、これはまぎれもない事実です。

円安によって得をする人、損をする人

「円安にすれば日本経済が復活する」、マスメディアの連呼によって半ば定着してしまった感がありますが、相当アヤシイと思われませんか?当たり前ですが、円安で得をする人もいれば、損をする人もいます。

例えば100ドル稼いだ場合、1ドル100円ならば10,000円、円安になって1ドル125円ならば12,500円の稼ぎです。つまり、外貨を稼いでいる人からすれば円安がいいのは間違いありません。
しかし、10,000円稼いでいる人の場合、1ドル100円だろうが125円だろうが、稼ぎは10,000円。しかし、1ドル100円ならば100ドル分の外国製品が買えますが、円安になって1ドル125円になると80ドル分の外国製品しか買えません。この資源のない島国では困ったことになります。円を稼いでいる人からすれば円高がいいに決まっています。

まとめます。

円安で得をする 円安で損をする
企業 外需で食べている輸出企業 内需で食べている内需企業
個人 ドルで給料をもらい、ドルで貯金をしている人 円で給料をもらい、円で貯金をしている人

日本にとってどちらが望ましいか、それはどちらの方が数が多いか、に他なりません。
そして、何度も繰り返しますが、日本はGDPの6割が国内消費という超内需国家であり、輸出は8~16%に過ぎません。答えは明らかですよね。
ただ、マスメディアのスポンサーは輸出企業が多いかもしれません…。ま、そういうことです(笑)。

円で給料を受け取り、円で貯蓄している大多数の日本人にとって円安は最悪ですから、国内消費は低迷して当然なのです。上のグラフから、消費増税と円安誘導によって、著しく購買力を奪われた一般的な日本人の姿を想像するのは私だけでしょうか?

それでもアベノミクスがもてはやされるのは、マスメディアの影響力がいかに大きいか、ということなのでしょう。アベノミクスでは円を持っていたら負けです。私が円高のうちに一部をドル資産に替えて米国株に投資し、さらには経済合理性という点ではイマイチな持家購入を決断したのも、この認識があってこそ。1ドル80円の当時、多くの日本企業が海外の企業を買収していましたが、それと同じ理屈です。

円高で困る輸出企業は実際はごくわずか!

最後にもう一点。
話を分かりやすくするために円安は輸出企業にとって得と書きましたが、実はそうでもなかったりします。また機会があれば記事にしますが、日本の輸出企業の多くは優秀で、既に為替変動に耐えられる仕組みを確立済なんですよ。私、輸出企業に勤めていたもので、実はその辺りの事情には詳しいです。
なので、「本気で円安が困る」という輸出企業の経営者がいたら、よ~く覚えておきましょう。そして、絶対にその会社に投資してはなりません。

一般的な日本人や日本企業から富を奪い、一部の負け組輸出企業を救済する、これがアベノミクスによる円安誘導の正体です。

次回、消費支出について、これまでの話をまとめます。