国内消費輸出に焦点をあて、株価では見えない日本経済の実体を記事にしてみましたが、いかがだったでしょうか?ここに公共投資(政府最終消費支出)を加えれば、直近GDPの上位3位までが出そろいます。そこで今回は、株価や為替も含め、アベノミクスが日本経済に何をもたらしたか、改めてまとめてみました。

株価 大きく株高に
為替 大きく円安に
国内消費 低迷(東日本大震災の水準を割り込む)
輸出 低迷(為替レートによって金額ベースの数字が増えているように見えるだけ)
公共投資 失敗(金額は増えているが、投資回収できない失敗案件ばかり)
その他 日銀のバランスシート拡大(しかも株式という不安定な資産で)

為替

円安が”罪”の方に入っていることに違和感を感じる方は多いのかもしれません。マスメディアが「円安→輸出復活→日本経済復活」と連呼して定着してしまいましたからね。しかし、日本の優秀な輸出企業はもはや価格競争などしておらず、実際円安になったものの輸出が低迷を続けているのは前回の記事の通りです。
そもそも、通貨というのはその国の国力(信用)を反映しています。古今東西、通貨高で滅びた国など聞いたことがありません。通貨の価値が毀損して喜んでいるのは、おそらく世界でも日本人くらいだと思います。円安になり、皆さまの貯金も給料も減ってしまった、これが事実です。

国内消費

以前の記事でまとめた消費支出のグラフを再度掲載しておきます。

消費支出(移動平均)

円安と消費増税によって消費者の購買力が低下し、国内消費が傷つくのは当然ですが、あの東日本大震災の水準をも下回っているというのは、まさに惨憺たる状況と言えます。日本のGDPの約6割が国内消費です。総中流階級とも呼ばれる均質な1億人の消費需要で日本は食ってるんです。マスメディアで「消費増税によって景気が落ち込むことはない」などと言っていたエコノミストや御用聞き学者は全員切腹ものなんじゃないでしょうか。
この状況を解決するのは実は簡単なんですけどね。消費税率を5%に戻せばいいんですよ。日本の財政が危なくも何ともないのはもうお分かり頂いてますよね(笑)。

輸出

その国内消費を犠牲にしてまで伸ばそうとした輸出ですが、そもそもGDPのわずか8~16%に過ぎません。しかも大半の優秀な輸出企業は既に高付加価値ビジネスに移行済。そもそも「円安による輸出復活」というのは極めてアヤシイ理屈なのですが、結果がこちらです(詳細は前回の記事をご覧ください)。

自動車輸出実績と為替

台数ベースではむしろ低迷しており、金額ベースの数字が為替レートで水増しされているだけ…というのが実態です。喜んでいるのは、いまだにコモディティビジネスをしている怠惰な経営者のみ。為替レートによって水増しされただけの数字を使って自らの延命を図る、という訳です。

公共投資

金額ベースでは順調に増加を続けていますが、金を使うだけなら誰だってできます。当たり前ですが、投資というのは回収してナンボであります。ところが、公共投資はどれだけ失敗しても組織がつぶれないんですよね…。なので、中身をチェックする必要があります。

地方創生という言葉そのものには100%同意しますが、実際の政策は逆に地方のお荷物を増やしているだけで、どんどん地盤沈下が進んでいます。淡路島に移住してよく分かりましたが、地方と地方自治体は全く別物と考えないといけないんです。地方というのはなかなか面白い環境なんですよ。が、地方自治体がイケてない。輸出のところで書いた「怠惰な経営者」に近い存在かもしれません。弱者アピールをして、
・投資回収どころか維持費もペイできない建物を建てたり、
・まだ自立していない人をお金でつって都会から連れてきて、社会保障の負担を自ら増やしたり、
・何のビジネスも並走させずに、砂漠に水を撒くかのようなプロモーションをしたり。
自らの保身は図れるのでしょうが、儲かってるのは建築会社、広告代理店、コンサルタントを名乗る補助金ゲッターなどの下請けだけ。今の地方創生は「地方自治体&下請け業者創生」であり、地方には弊害の方が大きいです。

クールジャパンの結果もひどいものですし、おそらくオリンピック/観光振興の名の下にばらまかれるお金も、きっと同じことの繰り返しでしょう。このブログに関心を持つような方が実態を知ったらマジで驚かれると思いますよ。ホント、意味が分からんですから(笑)。

株価と日銀のバランスシート

株価は順調に上昇を続けています。これがアベノミクスの効果であることは疑いようがありません。

しかし、何度かコメントしていますが、買い上げているのが中央銀行であることには要注意です。いわば自作自演。そして、副作用として中央銀行のバランスシートが株などという不安定な資産で膨らんでしまいました。株価が永遠に上昇を続けるなんてことはありえません。この先、株価が下落に転じたら何が起こるでしょうか。日銀が大きな含み損を抱え、売却するにも規模が規模ですから今度は自分で株価を下げてしまいます。そして、市場参加者はそんなの百も承知。
・いいカモになる匂いがプンプンしませんか?
・中央銀行が大きな損失を抱えた時、通貨「円」はどうなってしまうのでしょうか?
まさに進むも地獄戻るも地獄…。もしかしたら、この国にはもはや”通貨の番人”としての中央銀行はいないのかもしれません。

アベノミクス=体に悪いドーピング

当初から私はアベノミクスを全否定してきました。実際、株価だけは上がっていますが、国内消費にしろ輸出にしろ、実体経済は大きく傷ついていることがお分かり頂けたかと思います。いわばドーピングによって注目度の高い株価という競技だけは好成績を収めるものの、身体(実体経済)はボロボロ…という状態です。円安と消費増税によって普通に頑張っている多くの日本人や日本企業を犠牲にし、コモディティビジネスに執着する怠惰な経営者や地方自治体(=地方ではない)に富を分配しているのですから、当然の結果と言えます。

株式投資をされている方の中には、アベノミクスによる株高で恩恵を受けた方もいらっしゃるでしょう。私の場合は相場の上げ下げにかけている訳ではないので、あまり影響がないこともあり、ニュートラルに観察できるのかもしれません。
特に日銀のバランスシート問題は大きなリスク要因になり得ます。という訳で、以前も書いた通り、私は少しずつドル資産を増やしています。