日本経済の記事、比較的読んで頂いているようでありがとうございます。
今回も頑張って書いてみたいと思います(笑)。

さて、前回はGDPに焦点を当てることによって、

  • 日本は輸出国家ではないこと(GDPの8~16%)
  • 日本はむしろ国内消費に支えられた内需国家であること(GDPの60%)

を改めて明らかにしました。今回はその日本経済のエンジンとも言える国内消費に焦点を当てます。

家計調査(消費支出)

国内消費の動向をストレートに見るためには、総務省統計局が公表している”家計調査”が便利です。GDP計算の元ネタにもなってるデータです。
ページの下の方にある時系列データから、「収入及び支出金額・名目増減率・実質増減率」という項目をクリックすると、「2000年以降の時系列結果-二人以上の世帯」というExcelファイルがダウンロードできます。
今回はこの中の「消費支出」という全体の数字に注目しますが、消費関連の数字が「食料」「住居」「光熱・水道」などに分かれて細かく並んでいるので、興味のある方は眺めていると面白いかもしれません。

数字が多すぎるので、今回はグラフにしてみました。

消費支出

棒グラフ(青)が消費支出の生データ、折れ線グラフ(赤)はその12ヶ月移動平均です。消費支出は月ごとのデータで、どうしても”年末や年度末は消費が増える”といった季節変動を受けるので、12ヶ月移動平均でその影響を消しました。

まだ分かりにくいと思うので、縦軸を少し拡大します。

消費支出(移動平均)

随分スッキリしたはずです。
私は何も数字をいじってません。季節変動を消すために移動平均をとり、拡大しただけです。
ご覧になってみて、いかがでしょうか?

私が消費増税に大反対なわけ

これを見て、今の日本経済が順調だと考える方はまずいないでしょう。実際、全く順調じゃありません。
その大きな原因が消費増税にあることは明らかです。増税前の駆け込み需要の後、国内消費が急速に落ち込んでいるのが見て取れます。そして、その水準は何とあの東日本大震災時をも下回るのです!!!

震災当時、私はまだ東京で会社員をしていました。あの時の消費の落ち込みは、甚大な被害で消費意欲がなくなったとか、そんなレベルの話ではありません。モノを買いたくても店頭にモノがなくて消費できなかったんですから。
今、その水準さえ下回っているという事実を、消費増税論者がどう考えているのか、もし可能なら聞いてみたいと私は思います。

増税前、「消費増税は将来への責任だ」という大本営発表を、マスメディアは一部のエコノミスト/御用聞き学者を担いでそのまま流し、あたかも増税に賛成することが日本への貢献だといわんばかりでした。彼らは、「消費増税によって景気が落ち込むことはない、落ち込んでも一時的なものだ」とも言ってたのですよ…。日本経済をこれだけ傷つけたのです。切腹では済まないんじゃないでしょうか?

上のグラフは、国内消費に大きく依存した経済を持つ日本において、消費税の弊害がいかに大きいかを物語っています。そもそも、以前まとめた通り、日本の財政は危機的でも何でもありません。百歩譲って危機的だとしても、消費税という形で税収を増やすのは絶対にやめた方がいいと私は考えています。
専門家と言われる方々は「日本は欧米に比べて間接税比率が低い」と言いますが、実はこれも極めてアヤシイのですよ。本論からそれるので詳細は省きますが、海外にある間接税は「付加価値税」や「売上税」であって「消費税」ではありません。「消費税」というのは日本の財務省にとって都合のいい税制であることは認めますが、世界でも稀に見る妙な税制であることも付け加えておきます。

景気回復期間、いざなぎ景気と並んだ可能性高い?

ちょうとタイミングよく、先週茂木経財相がこんな話をしました。
景気回復の期間が、戦後2位のいざなぎ景気と並ぶ長さとなった可能性が高いそうです!?

「いざなぎ景気」とは、1965/11から1970/7まで57か月間続いた、いわゆる高度経済成長時代の好景気のことです。もう一つ、「いざなみ景気」と定義された期間があり、こちらは2002/2から2008/2までの73か月間。ただし、実質GDP成長率はいざなぎ景気より低調であった期間です。

「いざなみ景気」を上のグラフに追記しておきました。今の消費支出は、その低調な「いざなみ景気」の水準にさえ遠く及びません。つまり、「そもそも今は景気回復期間なのか?」という疑問を持たれる方のほうが、私はずっと健全だと思います。

解散総選挙を控え、何がなんでも「アベノミクスで景気回復」と叫びたいのでしょうが、こうなるともう政治の話であって、経済の話ではありません。
アベノミクス(異次元金融緩和)は果たして実体経済に好影響を与えているでしょうか?
既にグラフに書いてしまいましたが、次回はこのグラフに株価もマッピングした上で、再度まとめてみたいと思います。