前回は国債の外国依存度という切り口で、日本の財政が健全だと断言しました。きっと、楽観的すぎると感じられた読者が多いのでしょうね。そしてこう思われているのではないでしょうか?800兆円も借金があって、どうやって返済するのか、と。

またまた結論から書きます。
そもそも全額返済することを前提にする必要はありません。「組織の借金」と「個人の借金」を同列に議論するから話がおかしくなるのです。

組織は借金を続ける

まず身近な例として、企業の借入について簡単に説明します。

企業(メーカーとしましょう)が需要を見込み、売上を増やそうとすれば、まず材料を買ってくるための運転資金が必要になります。手元に現金がない場合は銀行から借金をします。そして、完成品ができあがって売上が上がれば「めでたしめでたし」です。借金というと悪というイメージがあるかもしれませんが、業績の良い企業でもこのように借入をしているのが通常です。手元の資金内で事業を拡大すべきという考え方もあるにはありますが、金融という人類の発明そのものを否定する考え方で、むしろ経営効率が悪いと言うこともできます。

このように、企業は借金を続けており、全額返済することはまずありません。どれだけ借金できるかは、その企業の信用次第。信用が高ければたくさん借金できるし、低ければあまり借金できない。許される範囲内で増減はあるものの、ずっと借金を続けるのです。

企業より有利な国、寿命のある個人

国に話を戻します。徴税権があり、通貨発行にも一定の影響力がある分、企業よりさらに有利な立場にいるのが国です。企業よりもさらにずっと長いスパンで借金を続けます。
一方、個人はどれだけ信用を築いても、生物としての寿命があるため、一定期間内に必ず借金を返済しなくてはなりません。ここに決定的な差があります。国の借金を個人の借金と比較して「返さないと!」と騒ぐのは全くもってナンセンスです。

全てを決めるのは日本人

日本が莫大な借金を続けているのは、現在の日本にまだそれだけの信用があるからです。信用しているのは、他ならぬ我々日本人。日本人が日本国を信用しなくなり、資金を外国に逃がせば財政は破たん。ただこれだけのことです。逆に信用を維持できれば、ずっと借り続けていられます。いずれにしろ、決めるのは債権者(債務者ではない)である我々日本人ということになります。日本人は債権者として国に「しっかりしろよ、じゃないともうお金を貸さないぞ」と思えばいいんです(笑)。

実際、現在の米国や欧州を見ると、日本の方が信用できると私も思ってしまいます。日本の最大の課題は政治でしょうか。確信犯なのか、もしかしたら本気で分かっていないのか…。日本の財政をギリシャと同列に議論するなど、笑っちゃいますね。

次回は、今後日本の財政にどんなリスクがあり、どう対応せねばならないのか、書いてみたいと思います。