昨月末のことになりますが、以前紹介した消費支出の2017年12月分速報データが統計局より公表されました。統計局ホームページのポイントによると、

  • 消費支出は1世帯当たり322,157円
  • 前年同月比は実質0.1%の減少(名目1.2%の増加)
  • 前月比(季節調整値)は実質2.5%の減少

とありますが、実質とか季節調整といった概念を持ち出さずとも、日本のGDPの約6割を占める国内消費が一目で分かるよう、以前のグラフを最新版にアップデートしておきます。

消費支出とその12ヶ月移動平均

青い棒グラフが、統計局が公表している消費支出のデータそのもの。
赤い線グラフは、季節要因の影響を排除するためにその12ヶ月移動平均をとったものです。

消費支出201712

消費支出12ヶ月移動平均(拡大バージョン)

見やすくするために、移動平均のデータを拡大しました。
あの東日本大震災の水準をいまだに下回っていることがお分かり頂けるかと思います。直近は上昇しているように見えますが、「物価を考慮した実質データでは引き続き減少しているよ」と統計局は指摘している訳です。いずれにしろ、水準そのものが低すぎです。

消費支出移動平均201712

日経平均比

株価との比較です。株価と実体経済がいかに乖離しているか、お分かり頂けるのではないでしょうか。別に驚くことではなく、株価とは元来そういうものでありまして、「株価が上がったから景気回復」とか言ってる人には近づかないことをオススメします。

消費支出移動平均_NK225比2001712

USD/JPY比

為替との比較です。円安によって日本人が購買力を奪われ、消費が低迷するのは当然です。さらに言えば、輸出も含めて、円安による日本経済復活というのがいかにアヤシイ理屈であるか、は以前説明した通りです。

消費支出移動平均_USDJPY比201712

さて、黒田日銀総裁の続投が決まり、来年10月には消費増税が控えています。
国内消費に大きく依存した経済を持つ日本において、消費増税などまさに自殺行為。2014年の消費増税の前後のグラフを見て頂いても分かる通り、金融緩和なんて最終需要には何の役にも立ちません。お金は既に市場にジャブジャブにあるんですよ。が、消費需要が急速に縮まる日本市場には、そもそもビジネスチャンスを見い出せないというのが現状なのです。ここで、さらなる消費増税…。残念ですが、日本経済はさらに奈落の底へと落ちていく可能性が高いでしょう。

財務省の影響下にあるマスメディアは(笑)、おそらく「日本の財政を健全化するためにはやむを得ない」だの「消費増税による景気への影響は軽微」だのと連呼するでしょうが、日本の財政は危なくなんてありませんし、消費増税がどれだけ国内消費を傷つけるか、これはもう上のグラフを見れば明らかです。

このブログの読者の方々には是非とも生のデータをご覧頂き、自己防衛を図って頂ければ…と思っています。マクロを見ながら長期で投資をされる方には、米国市場をおすすめします。日本とは全く環境が異なり、投資をしない理由を見つける方が困難なくらいなので。