一口にシステムトレードと言っても、いろんなシステムが考えられます。デイトレ/スイング、買い/売り、そして逆張り/順張り。実際、私は複数のシステムを独自に開発し、それらを組み合わせて運用していますが、スイングの逆張りと順張りの間にはある傾向が見られます。

逆張り 順張り
合計損益(利回り) 同程度 同程度
勝率 高い 低い
最大ドローダウン 小さい(安定度大) 大きい(安定度小)
平均保持日数 短い 長い

多くの方が最も気にするであろう合計損益(利回り)はそれ程変わるものではありません。同じ資金を用意して、同じレバレッジで、同じ時間をかければ、見込める利益の額はそう変わらないという訳です。ならば、どちらで運用しても同じ、でしょうか?

勝率

これは前回も書きましたが、順張りは逆張りに比べて勝率が低いです。つまり、順張りは多くが負けトレードになるものの、少ない勝ちトレードの方で大きく勝つという戦略です。いわゆる”損小利大”。負けが多いので精神衛生上良くないかもしれませんが、私個人は勝率をほとんど気にしません。極端な話、1勝9敗でも安定的に勝てるシステムならば構わないんです。逆に言えば、9勝1敗でも破産する可能性はあります。コツコツ儲けてドカンとやられる、誰もが一度は通る道でしょう。
ただし、トレードシステムを開発すべく過去の相場を検証する段階においては、順張りに関しては特に「たまたま大当たり銘柄を引いた」という偶然を排除すべく、細心の注意が必要です。

最大ドローダウン

合計損益と共に私が最も気にしている値で、運用中に資産の一時的なヘコミがどのくらいあるかを表しています。例えば元本100万円で運用スタート、一時的に120万円になり、その後80万円まで落ち込んだとすれば、ドローダウンは40万円です。
私が逆張りをメインで運用し、このブログでも逆張りを中心にシステムトレードを紹介してきたのは、順張りはドローダウンが大きい、つまり安定性に欠けるからです。合計損益が同じならいい訳ではありません。ドローダウンが小さければ、精神的に楽なのはもちろん、レバレッジをかけて利回りをさらに大きくすることだってできるのですから。逆にドローダウンが大きいルールにレバレッジをかければ、破産の可能性が一気に高まります。
投資において、ドローダウンを小さく抑えることは合計損益(利回り)と同じくらい大事なのです。

平均保持日数

逆張りは「下がったら上がる」、つまりトレンドに逆らおうとする考え方です。一方の順張りは「上がったら上がり続ける」、トレンドに乗ろうとします。両者は矛盾しているように見えますが、一体どちらが正しいのでしょうか?
答えはこの平均保持日数が教えてくれます。つまり、「短期は逆張りが有利、長期は順張りが有利」が日本の株式市場が持つ大きな特徴だと私は考えています。そして、順張りは比較的長期の保有が前提になるため、市場全体の変動(β)の影響を大きく受け、結果としてドローダウンは大きくならざるを得ないのでしょう。
私の技術不足という可能性はあるものの、逆張りよりドローダウンの小さい(=安定的な)順張りシステムを開発するのは、かなり難易度が高いと思われます。

順張りの活用

こう書いてくると、順張りは使えないと思われるかもしれませんが、そういう訳でもありません。これからシステムトレードを始めるという方に対しては、まず逆張りシステムの開発をオススメしますが、順張りはうまく使えばシステム全体をより強固にしてくれます。
暴落時に一気に仕掛ける逆張りシステムを開発したとしましょう。このシステムはなかなか強力ですが、年に数回の暴落時しかシグナルが出ません。つまり、このシステムに割り当てた資金は、年の大半は遊んでいることになります。この資金を順張りに振り向け、資金効率を高めるという考え方はいかがでしょうか?
順張りがシグナルを出すのは、主に市場が上昇トレンドにある時です。暴落時にシグナルが出る可能性は限りなく低い。つまり、シグナルがかぶらないため、「暴落時には逆張り/上昇時には順張り」という”合わせ技”を比較的簡単に開発できるのです。注意しなければいけないのは、いざ暴落が発生した時にまだ順張り銘柄を保有していて資金がない、という事態を避けること。逆張りの弱点を補うように、一方で逆張りの足を引っ張らないように、が順張りを活用するコツだと思います。