システムトレードと株価がランダムウォークしていない局面

「何だこれ?」と私が興味を持ったのは(前回までの話はこちら)、2つのシステムが出すシグナル数でした。

  • 株価がどんどん下げ幅を広げると共に、仕掛け(買い)シグナル数が増えていき、株価の反発を契機としてその数が減っていく
  • 買いシグナル数が減ると、今度は手仕舞い(売り)シグナルが発生し始め、それまで含み損をかかえていたトレードのほとんどが一転して利益ののった状態に

まさに逆張りで、ものすごく規則的な動きでした。しかも面白いことに、友人のシステムと書籍のシステム、何の接点もない2つのシステムが全く同じ挙動を示したのです。友人のシステムはルールが公開されていないので想像するしかありませんが、2つのシステムは細かなルールに違いこそあれ、本質的には同じものを狙っているのだろうと感じました。

よくよく考えてみれば、当然の動きです。暴落時には何でもかんでも売り込まれるので逆張りのチャンスは多くなるでしょうし、反発すればその数は減るでしょう。
しかし、暴落相場での株価の動きと、システムが出すシグナル数が規則的に変化するのを目の当たりにし、私は暴落相場では株価は決してランダムウォークしていないと確信するようになります。言い換えれば、市場が効率的でなくなっているということです。

株式市場は極めて効率的です。これは事実であり、将来の予測などまず不可能です。が、わずかではあるものの、効率的でない局面も存在すると私は考えています。そういった局面にのみフォーカスをあて、機械的に売買することで利益につなげる、これがシステムトレードの本質だと思います。

書籍にあるようなシンプルな逆張り指標(移動平均からの乖離率など何でもいいと思います)を持っておき、そのシグナル数が多くなった時にだけ仕掛けることで、暴落相場をうまく乗り切るどころか、利益を出せるかもしれない…。

そして資金管理に行き着いた(投資初心者からの卒業)

考えなければいけないのは下記の2点であることは明白です。

  1. 仕掛けのタイミング
    シグナル数が多くなった時というアテはあるものの、具体的に数値化しないとシステムトレードになりません。早過ぎるとその先の下げ相場で含み損がふくらみ過ぎ、最悪追証にかかってしまいます。かといって遅すぎると反発が始まり、チャンスを逃してしまいます。
  2. 仕掛ける銘柄
    シグナル数が多くなった時にだけ仕掛けるということは、いざ仕掛ける際に候補銘柄が数多くあるということです。資金が無限にあれば全部買えばいいのですが、資金には限りがあります。多くの候補銘柄の中から実際に仕掛ける銘柄をどう選べばいいのでしょうか。

試行錯誤しながら自身のシステムを作っていく中で、特に2の課題と向き合ったことは、私の投資スキルを大きく成長させてくれました。一般的に資金管理と呼ばれます。「投資には資金管理が重要だ」というのは何となく耳にしたことがありましたが、当時まだ私はピンときていませんでした。正直、「何だか地味な話だな」くらいにしか思っていなかったのです(笑)。
それが、自身の売買をシステム化しようと思った途端、向き合わざるを得なくなりました。システムトレードに関心を持って本当によかったです。

今の私は、(特にシステムトレードにおいては)資金管理が全てを決めるくらいに思っています。次回、当時の私が悩んだことを紹介しながら、資金管理とは一体何なのか、具体的にしてみようと思います。