会社員を辞めて独立すると、給料がなくなるだけでなく、自身の信用が大きく失われていることに気付きます。もっと正確に書くと、個人の信用など実は大して存在しなかったこと、信用の面でも会社に大きく依存していたことに気付くのです。

独立後の変化

独立して間もない頃、妻がクレジットカードの上限額を引き上げようとしたのですが、何と断られてしまいました(笑)。審査の過程は分かりませんが、私が会社員でなくなったことが大きく影響したんだと思います。
ちょっとした会社員程度の収入はありましたので、その点は正確に申告しました。にもかかわらず審査に落ちたのは、おそらく収入の「額」ではなく、「質」が問題となったのでしょう。つまり、収入の大半を占める投資収益が安定収入ではないとみなされたんだと思います。

株式投資を初めて10年以上になりますが、私が年単位で損失を出したのはリーマンショックの2008年のみです(確か-0.5%くらい)。リーマンショックの年だけは、私の技術がまだ未熟だったせいもあって損失を出してしまいましたが、基本的には市場全体の上げ下げ(β)に影響を受けない運用を心がけており、特に直近の成績は安定しています。
それでもダメだったということは、成績の安定など審査には関係なく、投資収益というだけで安定収入とは見なさない、ということなのだと思います。実際、過去の成績が安定していたからといって、何か未来を保証する訳ではありませんが、それは給与収入も同じ。会社の倒産やリストラを考慮すれば安定していない…と私などは思う訳ですが、そんな考え方をする人はあまりいないのでしょう。

法人設立のすすめ

ところが、今年になって法人を設立し、もしかしたら状況が少し変わってきたかもしれません。
つい先日、今度は私自身がクレジットカードをゴールドに切り替えたくなりました。あまりに信用を失って見栄を張りたくなった訳ではなく(笑)、目的は航空会社のマイレージをより効率的に貯めること。東京出張や海外旅行の足しにとダメ元でトライしたところ、今回は無事審査に通りました。
妻と全く同じケースではないので断言はできませんが、今回私には会社役員という肩書があり、少額ではありますが実際に役員報酬も受けとっています。自分の会社が自分自身に支払っている訳ですが、会社オーナー/経営者として社会的立場が明確になっているのは事実で、それが良かったのかもしれません。

業態によって状況は違ってくるのでしょうが、独立に際し、法人設立は一考に値すると思います。同じ仕事をしていても、上に書いたように社会的立場が明確になりますし、法人運営によって自身の考え方が大きく変化する/どんどん経営者化してくるのも面白いです(詳細はまた別途記事にしたいと思います)。

信用について

法人設立によって一定の解決はできるものの、会社員時代いかに自分が会社から信用を付与されていたか、そして独立することでその信用を失ったか、身に染みて感じます。特にそのことを感じるのが、初対面の方とお会いして、

「何をされているんですか?」

と質問された時です。以前ならば、会社名を出すだけでも、それなりに理解してもらえました。相手とビジネスの可能性を模索するなら、もう少し時間をかけて、扱っている商材、商品サイドにいるのか販売サイドにいるのか、ポジションはどのくらいか、などなど話すことで、それなりの信用は得られたものです。

しかし、今ではそうはいきません。特に私の場合、「個人投資家」、「IT会社経営」、うまく話さないと妙な偏見を持たれるのがオチです。実際、自己紹介の最中、自分で自分の言葉を聞きながら「アヤシイよなあ、俺」と思うくらいですからね(笑)。会社の看板なしにいかに信頼関係を築くか、独立以降の大きな課題です。

次回に続きます。