給料信用に加え、私が会社員を辞めることで失ったと感じるものの最後の1つが人脈ですが、「?」をつけたのには訳があります。

失ったものと得たもの

正直、完全に切れてしまった人脈はあります。その多くは、大企業の看板を背負った私には興味が持てても、その看板を失った私には魅力を見い出せなくなってしまったのでしょう(笑)。こればかりは仕方がありません。私の力不足であります。

その一方で、会社員時代とはまた違った新たなコミュニケーションをとれるようになった方もいます。会社員を辞める/辞めないは別にして、私のような生き方に関心をもってくれているんだと思いますが、会社員時代にはあった利害がお互いになくなり、より深くコミュニケーションをとれるようになったという訳です。不思議なものですね。数という点では確実に失っているんですが、深さという点では逆に得たものも多いのではないかと思うくらいです。

ただ、コミュニケーションの機会は激減します。毎日通勤して上司/部下/同僚/取引先とのコミュニケーションが普通にあり、知らず知らずのうちに刺激を受ける…、会社員時代には社内政治もからんで煩わしく感じることもあったくらいですが、今となっては何と贅沢な時間なのだろうと思います。
人を雇ったり、自身のビジネスが大きくなったりすれば、また事情は変わってくるのでしょうが、自営という枠内で仕事をしていると、自分に意見を言ってくれる人などまずいません。人とのコミュニケーションによって軌道修正するという機会を私はほぼ失っているんだと思います。その代わり、自分がやりたいと思ったことを(社内調整など一切せずに)すぐに実行し、その結果で軌道修正を図ることになります。

会社員をしてから独立するのも悪くない

「数」や「機会」が減ったとはいえ、人とのコミュニケーションがあるというのはありがたいものです。会社員をやってから独立して本当に良かった、心からそう思います。会社からもらったのは人脈だけではありません。ビジネスや技術の経験を積んで一定のスキルアップはできましたし、給料があったからこそリスクをとって資産運用にチャレンジすることもできました。
そして、田舎移住(淡路島移住)という決断ができたのも、ある程度の人脈があったからこそ。何の人脈もなく、いきなり独立するとなったら、私は東京を離れなかったでしょう。前に進むには人からの刺激が不可決です。そういった意味で、人が集まっている東京は最高の環境ですから。生活費が高いとか言ってる場合ではありません。

会社員を経由せずにいきなり独立すればまた別の体験があるのでしょうが、会社員で経験と人脈を蓄えてから独立するというのも、これはこれで一つの方法なのではないでしょうか。
私は会社員時代の戦友とは別の道を歩んでいる訳ですが、まずは自営業者として引き続き力を蓄え、将来彼らとどこかで合流できたら最高だなと思っています。