日本の社会保障

前回、保険は必要最小限にという趣旨の記事を書きましたが、医療保険や生命保険への加入を検討する際、日本の社会保障、中でも健康保険や遺族年金のことはご存知であった方がいいです。日本では、「国民皆保険」といって、日本人である限り、何らかの公的医療保険に加入するよう義務付けられています。

  • 会社員なら○○健康保険
  • 公務員なら共済組合
  • 自営業者なら国民健康保険

など。おかげで、我々は医療サービスを受けても負担はその2~3割で収まり、高額な医療サービスを受けた場合でも自己負担限度額(=収入によって決まります)を超えた場合はお金が戻ってきます。つまり、保険医療に関しては自己負担限度額を超えて費用がかかることはない、ということになります(食費とか個室費用は別です)。

もちろん、タダではありません。収入や加入している保険組合によって保険料が定められており、きっちりお支払しています。義務ですからね。会社員の方は源泉徴収のためあまり意識していないかもしれませんが、これが高い。私も自営業者になってビックリしました。こんなに病気することはまずないよってくらい払っています。
私は日本の税金が高いとは思いませんが、社会保障費は高いと思っています。大半の日本人は、税金ではなく社会保障費によって搾取されているのが実態でしょう。

話がそれましたが、日本人は既に高額な保険料を支払っており、保険医療であれば高額な医療費を払わなくて済む、ということです。これは義務なので、やめることはできません。
又、詳細は省きますが、遺族年金といって、万一会社員である夫が亡くなった場合は残された家族に年金が支払われるという制度もあります。

リスクヘッジとしての生命保険

生命保険の目的を、資産形成(お金を儲ける)ではなく、リスクヘッジと考えられるならば、本当に必要な保険はかなり限定されるのではないでしょうか?
社会保障によって既にリスクは相当軽減されています。普段の家計を切り詰めてまで保険料というコストを払う必要が本当にあるのか、人それぞれ事情は違うでしょうが、私自身は疑問です。少なくとも、日本の社会保障制度を理解された上で契約されることをオススメします。

私は会社員の頃、一時期付き合いで生命保険に加入しましたが、すぐにやめました。以降、死亡保険には入っていません。仮にそういう事態になったとしても、結婚前は経済的に困る人間がそもそもいませんし、結婚後であっても遺族年金があるし、日本の社会保障以上の保険をかける必要性を感じませんでした。
生命保険にコストをかけるくらいなら、それを貯蓄に回すなり、投資に回すなり、何かを学ぶなり、自身の稼ぐ力を増やすために使った方がいいとも考えていました。貯蓄ができれば、保険の意味合いはますます薄れます。特に若い方はよくお考えになられた方がいいと思います。

しかし、前の記事の通り、がん保険には加入しました。家系的にはリスクが高そうだし、保険適用外の治療を受けることもあるだろうし…、と考えた訳ですが、がん治療費用の平均は50~100万円。そして社会保障制度があります。特別な医療を受けない限り、貯蓄で十分対応できる可能性が高いでしょう。

ただ一旦加入すると、やめるという決断が心理的に難しいんですよ、これ。がん保険の本質を理解するのに、アフラック創業者ジョン・エイモス氏が1972年の米国上院議員会で行った発言が大変参考になります。

私たちが販売しているのは金銭的に医療費を補完するものに過ぎません。しかし私が飛行機に乗る際に保険を買うのは、経済的損失から身を守るためではありません。もし買わないと飛行機が落ちてしまうような気がするから買うのです。これが、がん保険が解約されずにいる理由のひとつだと思います。彼らはがん保険を買い、契約を続けてきた。ここで解約してしまうとがんに罹ってしまうのではないか、そんな風に考えていると思うのです。

人間性への洞察力といい、ビジネスモデルといい、こういう方を天才というのだと思います。やられました(笑)

次回は損害保険のお話です。