これまでブログに書いてきた通り、私は

  • システムトレード
  • “コバンザメ投資”に代表される需給分析&投資

を併用する形で資金を運用しています。”コバンザメ投資“との出会いによって本格的にActive運用を始め、株式市場の暴落を乗り切るためにシステムトレードへと足を踏み入れていった…という経緯が原点となっているのは確かですが、現在も両方を継続しているのには理由があります。

もし明確な理由がなければ、私はどこかのタイミングでコバンザメ投資から撤退していたと思います。J-Coffeeさんが”コバンザメ投資”という名でこの投資法を公開された当初、素人の私でさえ楽に利益を出すことができました。しかし、知名度が向上するにつれて同じような売買を行う投資家が増え、マーケットインパクトが生じて難易度はどんどん上がっていきます。そして今では、それなりの研究をして銘柄選択と売買タイミングの精度を高めない限り、安定的な利益を出すのは難しいでしょう。毎月のリバランスイベントを調べ、証券取引所等の指数に関するルール変更を都度フォローし、自己ルールが機能しているどうか延々とチェックを続ける…、正直手間がかかります。
一方のシステムトレード。地道に検証を重ねて自己ルールを開発するまでには膨大な手間と時間がかかりますが、一端開発してしまえばシグナル通りに注文を入れるだけです。ドローダウン更新時など継続的なメンテナンスも必要ではありますが、大部分をプログラム(検証ソフト)がやってくれるので比較的楽です。

併用のメリット

では、なぜコバンザメ投資に代表される需給分析&投資を継続しているか?

それは、需給投資が上昇相場において大きな利益を上げることが多いからです。
下落相場はどちらかというと苦手です。例えば暴落といった局面で何の工夫もしないでいると、相場全体の下落に巻き込まれて損失を被ります。少々カッコよく表現すると、「市場全体の値動きの影響(β)が超過収益(α)より大きくなってしまう」のです。

一方のシステムトレードは逆の特徴を持っています
以前、システムトレードにおける逆張りと順張りを比較した記事を書いたことがありますが、日本の株式市場では逆張りの方が圧倒的に効率がいい、というのが私の研究結果です。逆張りは値下がりしないとシグナルが発生しません。上昇相場に強い順張りは、逆張りの足を引っ張らないよう、限られた資金枠で運用しているだけなので、少なくとも私のシステムは一方的な上昇相場を最も苦手とします。

もうお分かりだと思います。
需給投資は私のシステムトレードの大きな弱点を補完してくれているのです。
私の去年の成績が良い例でしょう。一方的とも言える上昇相場の中、稼ぎ頭はまさに需給投資と(少ない)順張りシステムトレードでした。そして、逆張りのシステムトレードは損失を計上しています。
弱点を補完し合うような複数の投資法を組み合わせることで、単体では実現できないような利回りと安定度を目指すという戦略には、おそらく皆様が想像されている以上に大きな力があります。

併用のデメリット

ただし、この方法にはデメリットもあります。
どうしても資金管理に「勘」が入ってしまうのです。

一言でシステムトレードといっても、逆張り/順張りはもちろん、デイトレ/スイング、買い/売りなど私は複数のシステムを組み合わせて運用しています。そして、それぞれに資金の何割を割り当てるのが最も効率がいいか、その比率も検証しています。
ところが、需給投資は検証ソフトによる計算に組み込むことができません。なので、資金枠はあくまで個人的な勘で決めています。暴落時の逆張りに割り当てた資金枠は年2~3回の暴落時以外は遊んでいるため、その枠が基準となりますが、そこから先は私の勘…。

合理性を追求していたはずが、なぜか勘が割り込むことになってしまいました(笑)。
需給投資のパフォーマンスを超えるような優秀な順張りシステムが開発できればいいんですが、個人的に難易度は相当高いと考えています。

需給投資を実践されている方で下落相場への対応を悩んでいる、もしくはシステムトレードを実践している方で上昇相場への対応を悩んでいる方にとって、両方の併用にチャレンジしてみるのは一考に値すると思いますが、いかがでしょうか?