通貨安で起きること

1ドル139円を超えてきましたね。そして、こんなニュースも出てきました。

HISや地元企業、香港ファンドにハウステンボス売却 総額1千億円

残念ですが、通貨安が続けば、これから外資による買収はますます増えていくでしょう。安くなるんだから、当然であります。

1ドル80円だった頃は、日本企業による海外企業の買収がさかんに行われていました。今とは真逆ということになります。もちろん、私が勤めていた会社も例外ではなく、非常に積極的に動いていました。当時、私はCEOスタッフを拝命していたもので、毎月のようにそういった決裁に関わったものです。ニュースを見ていても、多くの優秀な日本企業は、ここぞとばかりに勝負に出ており、まさに国民総出で祝うべき慶事と言える状況だったのですが、マスメディアでは「円高が日本を滅ぼす」の大合唱。私は退職時に会社とNDAを交わしており、こういったオープンな場で言えることには限りがありますが、どちらが正しいか、答えはもはや明確でしょう。

実は、通貨が安い国で起きる典型的な事象がもう一つあります。それは、出稼ぎ。自国の通貨を稼いでも意味がないので、他国の通貨を稼ぐことに必死になるという訳です。例として適切ではないかもしれませんが、外国人女性が働いているキャバクラをイメージすると分かりやすいかもしれません。

通貨の安い国で暮らすことがいかに大変か

たとえビジネスの経験がなくても、海外を旅すれば、普通に肌で感じることができるはずです。

自国通貨の安定は決して当たり前ではない

ということです。我々の生活は、先人たちが作り上げた信用(=円)の上に成り立っています。

日本の強さの源

誤解のないよう付け加えておくと、今の日本には外貨準備が豊富にあり、いきなり皆さんが必死になって出稼ぎに出るような事態になるとは思いません。円の価値はドルで担保されているという側面もあるのです。実力なのか、運がいいのか、米国のポチとなって米国債を買いまくったのが正しかったという訳ですね(笑)。

さらに言えば、円が紙くず同然になってハイパーインフレになるとか、ジンバブエのようになるとか、実戦経験のない評論家や学者の言うことは真に受けないことです。国債を国内で消化している、つまり海外から借金をしていない現在の日本国で、そういったことは起きようがありません。ただし、日本政府はあいかわらずの放蕩っぷりで、いい加減にして欲しいとは思いますけどね…。

しかし、通貨安からの脱却は一朝一夕にはいかないと思われます。信用を壊す(=アベノミクス)のは簡単ですが、失った信用を取り戻すのは容易ではありません。日銀がこの有様ですし、おそらく時間がかかるでしょう。そして、確実に言えるのは、この国では政府に頼っても無駄で、民間の活力こそが国力の源であり、自らの力で何とかするしかないということです。できなければ衰退する、実に単純明快な現実があります。

おそらく若い方で「お上がよろしくやってくれる」と本気で考えている方はもはや少数派だと想像しますが、ピンとこない方もおられるかもしれません。が、

日本にトヨタやソニーは生まれたのに、なぜゴールドマン・サックスは生まれなかったのか

を考えてみれば、お分かり頂けるのではないでしょうか。そして、お隣の共産主義国の通貨が、今やアジア諸国で普通に使える一方、日本円が流通しているのは未だに日本国のみという現実を見ても、同じ事実にたどり着きます。この国では、政治が関わった産業は内向きで、硬直化し、発展しないのです。本来、金融業というのは”真面目で信用できる日本人”に極めて向いている産業なのですけどね…。又、どこまで書いていいのか分からないので記事にできていませんが、農業も構造的な問題を抱えており、今のままだと決して未来は明るくないことが、淡路島に移住し、やる気と実力を兼ね備えた農家と交流して、よ〜く分かりました。

正直、ここ淡路島にも、税金にたかることを考えている方はいます。一方、元気な方は本当に元気で、たくましい。私などよりはるかに強いメンタリティを持たれていて、本当にいい刺激になります。年齢なんて関係ありません。60歳を超えた方と話していた時に、私が「年齢と共に随分ギラギラしたものも減ってきた気がする」と言うと、「俺はこれからがやっと本番だと思ってるよ」と返って来た時は、心の底から「すげえな」と思ったものです。
会社員であろうが、自営業者であろうが、そんな元気な日本人が一人でも増えて欲しいと心から願っています。そして、私自身も、自営から起業へステップアップする道を切り開くべく、徹底的にあがいてやろうと思っています。幸いにして我々は、大きな資本を持たなくても、十分に自立できる時代を生きているのですから。