生命保険に続き、今回は火災保険や自動車保険といった損害保険について書いてみたいと思います。こちらも、利用は必要最小限にという考え方は変わりません。

実は、火災保険には私自身にリアルな体験があります。以前、親戚の家に台風災害があり、とある理由で私が保険会社との交渉を代理で担当することになったのです。この時の経験で、私はなお一層強く思うようになります。「保険の利用は最小限に」と。

経年劣化か風災か

関東にいる方にはあまりピンとこないかもしれませんが(私もそうでした)、関西では台風による被害って結構普通にあります。実際、親戚の家では、台風の最中に雨漏りが起きてしまったんですね。親戚は火災保険に加入しており、風災補償も契約しているということで、保険金を申請しました。で、いろいろお話して分かったことは、

  • 基本的に雨漏りは保険対象ではない:経年劣化による雨漏り
  • ただし、風災によって家屋が被害を受け、それが原因で雨漏りが発生した場合は保険対象:風災による雨漏り

ということでした。調べてみると、これはごくごく一般的な契約のようです。分かりやすいですね。

しかし、問題はここからなのです。
経年劣化なのか風災なのかを調べるため、保険会社チームが家屋を調査しにやってきました。調査結果は次の通りです。

  • 瓦の割れといったレベルの大きな外傷はない
  • 雨漏りを引き起こすレベルの大きな経年劣化も存在しない
  • 経年劣化によるものか、風災によるものか、判別不能
  • 屋根に水を撒くなど詳細に調査すれば、原因が分かるかも

そして、この調査結果をベースに今回の雨漏りは保険対象外と結論づけられたのです。私は、

  • 「原因不明」なのに、100%保険対象外(経年劣化)は理解できない
  • 100%保険対象(風災)というつもりもないが、今回の台風ではじめて起きた雨漏りであることは事実だし、負担をシェアするという考え方で歩み寄ることはできないのか?
  • せめて水を撒くなどの詳細な調査をしてから結論を

と言ってみましたが、すべてNG。これ以上の調査にも協力はできないとのことでした。
この頃には私も完全に戦闘モードになっており(笑)、超大手の保険会社とはいえ、的を得た回答をしてこない担当者から弁護士に窓口を変えて頂きました。この結果分かったのは、

  • 風災による雨漏りであることを契約者側で立証してください。

というシンプルなご回答でした。

ええ、予想はしてたんですけどね、やっぱりそう来ますか…。
実は私は負け戦であることを覚悟して、この交渉に臨んでいました。結局、保険会社が調査を行うといっても、その内容は限定されており、経年劣化か風災か、契約者側がコストをかけて立証しないと雨漏りは保険対象にはならない、ということです。以下、私の率直な感想です。

  • 建築の素人である契約者がそんな立証できるでしょうか?
  • 原因不明という段階で調査をやめるのは、あまりにアンフェアではないでしょうか?

支払われた保険金額

もう1つ、この交渉で、すごく不思議に感じたことがありました。雨漏りは上記の通り保険対象外となりましたが、破損した瓦を修理する分が保険対象となり、実際に保険金が支払われました。その金額の算定基準が実に不明瞭なのです。

金額を計算する元ネタとして、業者に修理を依頼した場合の見積書を私は保険会社に提示しました。保険会社が精査の上で出してきた回答は、25%という数字です。
ああそうですか、と保険会社の言いなりになる性質ではない私は、その根拠を聞きます。が、これがものすごくあやふやなんですよ。ようやく引き出した回答は、

  • 風災によって生じたであろう一部の破損した瓦を差替えによる修繕を行った場合、その周辺の瓦が破損してしまう可能性も考慮し、その範囲をお客様有利に考える
  • 上記方針の下で、保険会社契約の建築士の一存により決定

とのことでした。さらに、窓口になった弁護士の方に「より安い業者を見つけた場合、保険金額は安い見積もり額の25%になるのか?」と聞いてみたところ、

  • 金額固定なので、見積額には依存しない。この保険金をどう使おうが、契約者の自由。

という回答なのです。当初、比率でお話頂いていたものが、いつの間にか金額固定になっていました。これって、最初に提示する見積もりは極力高いものにしておいた方がいいってことなのでしょうか?

この点は最後まで理解できずに交渉を終えました。
私の交渉能力が不足していたのかもいれませんし、結局保険会社がその裁量でどうとでも決められるという話なのかもしれません。いずれにしろ、契約者側が圧倒的に不利な立場にいることを自身の体験として実感したのでした。

私自身は契約の際…

私も家を建て、火災保険に加入する立場になりました。

当初豊富な補償内容での契約を提案してきた担当者に、私は

  • 「保険って保険会社が自身の裁量を加えられる余地が多く、フェアな商品ではないですよね。私は保険と詐欺は紙一重くらいに思っているんですよ」

という本音をぶつけてから話を始めました。そして、よく話し合いながら補償内容を厳選し、他社の保険とも比較しながら、私にとって最小限必要な契約のみ締結しました。

時間が経過すると共に、家屋が古くなったり、貯蓄が増減したり、状況も変化していくでしょう。その都度見直しを加えようと思っています。