先日の記事の通り、私は会社員として経験を積むうちに、「起業に成功の方程式など存在しない」と考えるようになりました。しかし、そんな私でも新しい挑戦をする際の心構えとして大事にしている文章があります。
ソニー創業者井深大さんの言葉です。

 

科学的なデータにもとづいて、リスクが少ないような決定を下す一方で、我々に課されている最大のテーマは、挑戦そのものに伴う鋭敏な精神を失わないようにすることである。決して失敗を恐れてはならない。恐れて何もしないければ、老人の会社になってしまう。「これがソニーにとって良いことだ」と思えば、思い切って実行すべきだ。責任とは、それができる勇気を持つことだ。

世の中というのは激しく変わっていく。文章に書き残す秘訣などあり得ない。変化に対し上手に大局的見地から物事を把握し、絞り込んでやれる人を育てる事しかない。マーケットもハードもどんどん変わるのが現実の世界である。人のやらない新しいことを苦労してやり抜き、デマンドをこしらえる。この苦労をいとわずやっておく事が必ず後になってものを言う。

だから私は常日頃、仕事をやる以上は汗と血の流れ込んだ仕事をやり、その結晶のにじみでた製品を世に送り出せと言っているのです。いつの世にも通用するのは、何をやるんだというしっかりした思想を持った上で、人のやらない事を苦労してやり抜くことだ。

一人一人が職場にあってソニーの歴史に何を残せるか、自分で探し出して動ける事がソニーの一番面白い、働き甲斐のあるところなのです。

 

「ソニー」の箇所は、自分が所属している会社に置き換えてもいいでしょうし、今の私のように自営業者の方は「日本」或いは住んでいる「地方」に読みかえてもいいかもしれません。会社員時代も、そして会社員を卒業した今も、煮詰まってくると私は一旦立ち止まって自分にこう問いかけることにしています。

  • 挑戦そのものに伴う鋭敏な精神を失っていないだろうか?
  • 何をやるんだというしっかりした思想を持てているだろうか?
  • 人のやらない事を苦労してやり抜く覚悟を持てているだろうか?

井深さんというと、ソニーの設立趣意書が有名ですが、今読み返しても泣けます。現在でも、いやこれからのビジネスにこそ通用する重要なメッセージがたくさん含まれている気がしてなりません。興味のある方は一度読んでみてはいかがでしょうか。