前回までで、持家と賃貸のどちらが得か、は不動産投資が成功するかしないかと同じであることを説明してきました。今回は、住宅ローンについて、です。

リスクもリターンも倍増する借金

住宅ローンに限らず、借金をすると、得も損も増幅されます(レバレッジと言います)。他人のお金を使って少ない自己資金で成功する可能性がある一方、失敗した場合でも元本は返済しなければなりませんし、金利というコストも重くのしかかります。資金効率が高まりますが、リスクも高まる訳です。

日本のバブル崩壊があれ程長引いたのは、国民がほぼ全員借金をして家を購入していたのと無縁ではありません。ほぼ全員が資産運用に失敗し(不動産市場の下落)、さらに悪いことにレバレッジがかかっていたために(住宅ローン)、家計が著しく悪化したのです。

住宅ローンは恵まれた条件の借金

一方、住宅ローンは、他の借金に比べて

  • 金利が安い
  • 所得税の税額控除がある

という点で、恵まれた条件の借金ではあります。キャッシュをお持ちの方は、(条件次第ですが)金利負担分と税額控除が相殺されると考えれば、

  • 住宅ローンにかかる初期手数料(コスト)
  • 住宅ローンに付随する団体信用生命保険(価値)

のバランスを考え、結論を出すことになるでしょう。何らかの事情でキャッシュを温存しておきたい方も、住宅ローンを活用するのは一案です。

マクロ経済をも左右するレバレッジ、利用は計画的に

最後に余談。

「中国不動産市場のバブル崩壊」というニュースをお聞きになったことがあるかもしれません。私も中国の不動産市場はバブルだと思いますが、中国の場合、国民全員が借金して購入している訳ではありません。損失は一部の富裕層に限定され、日本のバブル崩壊とはまた違った様相を呈すると思われます。
又、詳しくは機会があれば書きますが、2008年に起きたリーマンショック。これは、サブプライムという住宅ローンが焦げ付いただけでなく、何倍にもレバレッジがかけられたCDOという証券化商品に組み込まれて売買されていたために起きたのです。

レバレッジ(借金)はマクロ経済をも左右します。リスクを理解した上で活用しましょう。

次回は不動産の税金について書いてみたいと思います。